『クルエラ』に実在のモデルがいる?原作での狂気の結末とは

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こんにちは。マモジンです。

今回は映画『クルエラ』(映画館2021年5月27日。ディズニープラス2021年5月28日)

についてのブログです。

映画『クルエラ』はディズニー史上最も最悪な悪役(ヴィラン)と呼ばれている「クルエラ(エステラ)・ド・ヴィル」の過去を描いた作品です。

1人の夢見るデザイナーの卵だった少女「エステラ」がどのようにして「クルエラ・デ・ヴィル(悪魔)」と呼ばれるほどの邪悪な存在に変貌してったのか。

その誕生秘話が映画『クルエラ』で明らかになります。



このブログでは過去に公開された「クルエラ」が登場する原作の中で、彼女が引き起こした狂気の事件とその結末を振り返るとともに

少女「エステラ」のモデルとなったであろう、1970年代を強く生き抜いてきた1人の伝説的な女性についてお話しします。


この記事で分かること。
  • 映画『クルエラ』のあらすじと彼女の人物像
  • 原作アニメ映画「101匹わんちゃん」での「クルエラ」の起こした事件と結末
  • 原作実写映画「101」「102」での「クルエラ」の起こした事件と結末
  • 少女「エステラ」。そして「クルエラ・デ・ヴィル」には実在のモデルがいた!?

アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」の39位にランキングするほどの極悪非道な「クルエラ・ド・ヴィル」。

原作では「クルエラ・ド・ヴィル」でしたが、映画『101匹わんちゃん』で彼女の狂気に満ちた様を「悪魔(デヴィル)」に例えて「クルエラ・デ・ヴィル」と呼んだことが定着して現在に至ります。

波乱万丈の人生を送る「クルエラ・デ・ヴィル」


彼女を知るために映画『クルエラ』のあらすじと、その後辿る運命と結末を原作『101匹わんちゃん』『101』『102』から見てみましょう。

映画『クルエラ』あらすじと彼女の人物像

1970年代。デザイナーになることを夢見てロンドンにやってきた少女「エステラ」

原作の「クルエラ・デ・ヴィル」の派手な衣装とは程遠い、全身黒系の服や質素な白い服など地味な服装に身を包みながらも大きな夢を抱えながら毎日忙しく過ごしていた。

そんなある日。「エステラ」はカリスマデザイナー「バロネス」との出会い、運命が廻り始める。


とある事件をきっかけに「エステラ」の心の奥でずっと叫び続けてきた本当の声に従って生きていくようになっていく。

「I am woman. hear me roar.」「私は女。私の叫びを聞いて」

こうしてこの世に「クルエラ・デ・ヴィル」という存在が生まれたのです。


幼い頃から「人とは違う心の声。人とは違う世界の見え方」を感じてきた「エステラ」

1970年代後半は「パンク」の文化が花開いた時代。


大人達や社会。政府。様々なものに抑圧されてきた若者達は反社会的な「音楽」や「ファッション」で自分たちを開放していく。


そんな時代に生まれた彼女だからこそ、人とは違う生き方。心の声に従って生きていくという選択をしたのかもしれません。


誰かの迷惑になることも自覚しつつ。それでも「私は気にしない。」と言い切れる「エステラ」は「クルエラ・デ・ヴィル」として真っ直ぐに力強くこの世界を生き抜いていくのでした。

原作アニメ映画『101匹わんちゃん』での彼女の起こした事件と結末

さて。映画『クルエラ』の詳しいあらすじは公開までのお楽しみですが、気になるのは「クルエラ・デ・ヴィル」のその後の人生と結末ですね。


原作のアニメ映画『101匹わんちゃん』の設定では1960年代の時点で、既に「クルエラ」は天才的なデザイナーという設定だったので、今回の映画『クルエラ』が1970年代ということを考えると、アニメ映画『101匹わんちゃん』に登場する「クルエラ」とは違う時間軸の存在のようです。


しかしながらその狂気じみた性格はアニメ映画『101匹わんちゃん』が原作なので、紹介させていただきます。

『101匹わんちゃん』での「クルエラ」のキャラクターと行動

天才デザイナーであり大の毛皮好きという「クルエラ」は、ダルメシアンの毛皮でコートをデザインしている際に、同級生の「アニタ」と夫の「ロジャー」の飼い犬であるダルメシアンの「ポンゴ」と「パディータ」に生まれた15匹の子犬達をコートの材料にしようと強引に買取をしようとするが断られてしまいます。

しかし。それでも諦めない「クルエラ」は手下の「ジャスパー」「ホーレス」を使って子犬を盗ませる。

他にも各所から子犬を盗んできた「クルエラ」は99匹のダルメシアンの子犬を殺して毛皮のコートにしようとするが「ポンゴ」と「パディータ」そしてたくさんの動物達の協力で逃げられてしまう。


トラックの荷台に隠れて逃げる99匹の子犬と「ポンゴ」と「パディータ」だったが、怒り狂って我を忘れた「クルエラ」の運転する車で谷に突き落とされそうになるが、手下たちの運転する車が誤って「クルエラ」に突っ込み自滅する。

劇中の「クルエラ」は常にパイプでタバコを吸っていて、煙を周囲に撒き散らしているチェーンスモーカーです。


煙草の吸殻をケーキに突き刺して捨てたり、素行の悪さはかなり悪いです。

クライマックスのカーチェイスのシーンでは、目の色が狂気じみた色に変わり、トラックもろとも谷底に突き落とそうとする。

『101匹わんちゃん』での彼女の行動や言動は「クルエラ」が登場する映画の中で最も狂気じみている気がします。さすが全米39位ですね。


魔法も使えないし、特殊能力があるわけではありませんが「魔女」や「悪魔」と呼ばれるのも納得です。

原作実写映画『101』『102』での彼女の起こした事件と結末

実写映画の『101』『102』は時代設定的には1996年-2000年前後なので、おそらく映画『クルエラ』の20年後の姿がこの『101』『102』で登場する「クルエラ・デ・ヴィル」なのだと思われます。

『101』での「クルエラ」のキャラクターと行動。そして結末


ファッションのデザイン会社「HOUSE OF DEVIL」の社長である「クルエラ」。


傲慢で自分勝手な性格。キレやすく、人使いが荒です。


「結婚」を嫌悪していて結婚によって犠牲になる女性の数は「戦争」や「伝染病」の比ではないとまで発言してます。

「子供」も嫌いで部下の「アニタ」に子供が出来たときも「お気の毒に。お悔やみ申し上げます。」と発言。更に「アニタ」の夫「ロジャー」が「TVゲーム」の開発者だと知り「子供がテレビの前でガチャガチャうるさい音を出す遊びを作る仕事にデザイナーが取られた(結婚した)?なんて愚かなの?」

と言い切るあたり自分の仕事にプライドを持ち、女性の時間や自由を奪うような物事に対しては激しい嫌悪感を見せます。



そして「アニタ」がデザインした「ダルメシアンのブチを使った衣装」を完成させようと、各所から盗んできたダルメシアンの子犬と「アニタ」と「ロジャー」の飼い犬「ポンゴ」と「パディータ」に生まれた15匹の子犬。合計99匹を殺して毛皮にしようとします。

しかし、多くの動物達の協力によって子犬に逃げられたばかりか、豚に踏み潰されたり、馬に蹴られたり。

糖蜜(甘いネバネバした家畜の飼料)の桶に落とされたりと散々な目に合い、最後は今まで違法に殺したり盗んできた動物の毛皮が警察に見つかり逮捕されます。


『102』での「クルエラ」のキャラクターと行動。そして結末

『101』から3年後。行動制御療法を受けて改心した「クルエラ・デ・ヴィル」は「問題行動を起こした場合は全財産800万ポンド(12億円くらい?)を動物の保護施設に寄付される」という条件付きで仮出所を許可されます。

あれだけ好きだった「毛皮」を見るのを恐れ、動物愛護の精神に目覚め。

そして自らを「エラ」と名乗り「セカンド・チャンス」という動物の保護施設で慈善事業を始めます。



しかし、行動制御療法は「一定のリズムを奏でる大きな音」聞くことによって解けてしまうという欠点があり「クルエラ」はロンドン塔の鐘の音を聞き邪悪な本性が呼び起こされてしまいます。



今度こそダルメシアンの子犬の毛皮を使った衣装を完成させようと、「セカンド・チャンス」の責任者「ケヴィン」に子犬泥棒の濡れ衣を着せたり、犯行に気づいた「ケヴィン」の恋人「クロエ(クルエラの保護観察官)」を隠し部屋に閉じ込めて完全犯罪を目指すが、子犬達の奮闘や部下の裏切りに合い失敗。


最後はお菓子工場で、卵、牛乳、小麦粉と一緒にオーブンに入れられ。ケーキにされてしまう。


ケーキを身に纏った「クルエラ・デ・ヴィル」はある意味最先端のファッションであったような気がします。


その後。一文無しになってしまった上に、唯一の部下にも裏切られ再び逮捕されてしまいました。

傲慢で自分勝手。それが「クルエラ・デヴィル」

どの作品でも「クルエラ・デ・ヴィル」は安定して傲慢で自分勝手。

そして、自らの欲求を満たすためなら犯罪だろうがなんでもする人物です。


彼女の劇中での発言から分かるように「女性」の自由や生き方に対して強いこだわりがあるように感じますが、映画『クルエラ』ではそういう面も描かれているのかなと思います。


なんにせよ。アニメ映画『101匹わんちゃん』でも実写映画『101』『102』でも真っ直ぐに生きて自分自身はボロボロになっても、結果的に関わった人は不思議と幸せになっているので、なんだか嫌いになりきれない。むしろその真っ直ぐな生き様がかっこいいと思ってしまう人は多いようです。

ディズニーのパーク内で「クルエラ」に出会うと「クルエラさまー」と黄色い声援がたまに聞こえるので、きっとそうなのでしょう。


『クルエラ』像を生みだしたのは「ヴィヴィアン・ウェストウッド」!?


じつは。映画『クルエラ』の描かれている時代は1970年代は「パンク・ロック」をはじめとするアナーキズム(反国家権力的な?)な音楽や運動。そしてファッションが盛んになってきた時代です。

かの有名な「セックス・ピストルズ」はロンドンの抑圧された若者の心を鷲掴みにしました。彼らがもたらした影響は音楽だけではありません。

実は「セックス・ピストルズ」の仕掛け人「マルコム・マクラーレン」は、後にイギリスだけでなく、世界を代表するデザイナー「ヴィヴィアン・ウェストウッド」の夫だったのです。

「パンクの女王」とも呼ばれる「ヴィヴィアン・ウエストウッド」。

「マルコム・マクラーレン」との出会いによってデザイナーとしての自分を見出していった彼女。

その人生は挫折もたくさんありました。離婚も2度経験しましたし。ファッションショーでは皆の笑いものになったり批判の的になったり。経営に失敗し無一文になったこともあります。


しかし「自分らしく生きる」という信念のもと、常に妥協せず、あらゆる努力をして這い上がった彼女はとうとう世界を代表するデザイナーにまで上り詰めます。


常に自分自身の足で立ち。進むべき道は自分で選ぶ。誰かの批判の対象になろうが、笑いものにされようが。自らの人生をデザインするのは自分自身


そんなかっこいい生き方をする「パンクの女王ヴィヴィアン・ウェストウッド」



その生き方や価値観は若き日の「エステラ」。そして「クルエラ・デ・ヴィル」に重なる部分が非常に多いです。



たどり着く先は違ったのかもしれませんが「自分らしく生きる」という信念のもとに、同じ時代を生き抜いた「クルエラ」と「ヴィヴィアン・ウエストウッド」

映画『クルエラ』には、彼女達のように強く、泥臭く。美しく生きるためのヒントが散りばめられているのかもしれません。